防音室のすすめ

2019年08月05日

防音室を自作する

本カテゴリーは音楽クリエイターの方にとって悩みの種の「防音」を、自分でやってしまおう(DIY [DO IT YOURSELF] )というものです。

・スピーカーを買ったものの、近所迷惑にならないように、時間を気にして制作しないといけない
・ボーカルリストに歌ってもらいたいけど/エレキギターをアンプ録りしたいけど、録音するための部屋がない

といった悩みを持つ方はたくさんいらっしゃると思います。 これらの制約は、時には音楽のクオリティにも影響します。音量の問題で望み通りの作業ができず悔しい思いをした方も多いでしょう。もしくは隣の人に壁を叩かれたり大家さんからお叱りの電話がかかってきたりした方もいるかもしれません。中級者以上の音楽クリエーターの方は音が自由に出せる空間に憧れる方が多いとおもいます。防音室は市販で売られていたりレンタルしているものも多いですが、機材以上のお金がかかってしまいます。

実は、防音室は、時間をかければ、ある程度のものであれば自分で作ってしまうことが可能です。 「スタヂオ百年」は工務店に工事してもらいましたが、筆者がここに来る前は、スピーカーを鳴らすためのコントロールルーム(6畳)と演奏者が入るレコーディングルーム(2畳)の2部屋を、完全自作で作りました場所はなんと賃貸マンションです。その部屋は知り合いに譲渡してしまいましたが、今でも現役で使用されており、スピーカーで大きな音を出しても苦情が来たことはありません。

かかった費用は、約60万円です。さすがに2部屋かつ片方は大きな部屋を作ったので、なかなかのお金と時間はかかりましたが、市販の防音室を買うのと比較するとありえないくらい安いです。6畳の防音室は、平気で100万円は越えてきます。試しに「防音室 6畳 価格」などで検索してみてください。自作なら、2畳程度の録音部屋なら、10万円くらいでできるかと思います。

DIY防音室の利点/欠点

利点としては、

①何よりも安くつく
②遮音性はかなり高い(Dr40はあると思われる)
③自分の好きなレイアウトにできる
④「防音室を作る」というのは、ただ単に部屋を作るだけではなく、機材選び、ケーブル、電源なども同時に考えないといけなくなるので、そのためのノウハウや知識がたまる

といったものが挙げられます。特に④によるところは大きく、筆者はこの防音室作りで得た経験やノウハウが、スタヂオ百年でも様々なところで活きています。現代の音楽制作では、「大きな商業スタジオ」だけではなく、「自宅スタジオ」も重要なポイントを占めているように思われます。商業スタジオほど大きくなくても、「自宅に音楽スタジオを作る」ことがどういうことなのかを分かっていた方が、今後は有利に働くだとろうというのが筆者の見解です。

一方、欠点も当然あります。

❶時間がかかる
❷解体が困難
❸まず場所がない
❹窓をつけるのが困難

といったものです。❶❷に関してはどうしようもありません。時間は約5ヶ月かかりました。❸に関しては、場所探しに根気が要ります。筆者は上で賃貸マンションに防音室を作ったと書きましたが、これは引越しの時点で、改造OKという条件で不動産屋さんに探してもらいました(担当の方が親切だったのが幸運でした)。防音室は重さもありますし、たとえ改造OKでも防音室だと難色を示す家主さんが多いと思います。さらにそこに住むとなると、条件はより厳しくなってきます。ただし、筆者の感想は、「意外と見つかる」です。もちろん持ち家の場合は家族の了承さえ得られれば問題なしです。 最後に❹ですが、これに関しては物理的には可能だと思います。ただ、窓をつけると遮音性が数段落ちるのは避けられないと思います。作業部屋と割り切って出入り口のドア以外は閉じてしまうのが賢明だと思います。

また、当然安全性の面では自己責任、ということになります。まあこれは、大きな地震が来たりしない限りは大丈夫ではないかな、と思います。
作成した防音室の概要

まず、マンションの間取りは以下のような感じでした。4階(最上階)の角部屋で、右側はお隣さん、左側はマンション外壁です。すなわち右側と階下に対しては音を気にしないといけないわけです。

EX1-1

この間取りに、以下のように防音ルームを作りました。

EX2-2

赤いのが壁です。壁の厚さも大体こんな感じにしています。部屋の中に部屋を作ったわけですね。もともとマンションなので壁があり、その中にさらに壁があるので、その中で鳴らす音は意外と外には漏れません。緑色の線は2部屋をつなぐケーブルを通すための管です。

次回以降は具体的な作り方について書いていきたいと思います。

※奈良県にある「スタヂオ百年」では作曲・編曲のご依頼DTM・DAWのレッスンをうけたまわっております。お気軽にご連絡ください。